2019年ふりかえり

少し遅くなりましたが2019年をふりかえりたいと思います。2019年は自分のエンジニア人生の中で大きな転換点となる年でした。色々ありすぎてそれらを上手にまとめようと思って悩んでいたほどに。でも、悩んで出せないくらいなら稚拙でもどんどんアウトプットしてしまって、少しずつ改善していくスタンスの方が良いんじゃないか?と自問自答し、もう迷わずそのまま吐き出すことにしました。誰かが責めるわけでもないですからね。細かく見ると前後の年にはみ出していますがご愛嬌です。

 

キーワードと共にツラツラとふりかえってみたいなとおもいます。

 

アジャイル

それまでアジャイルをまったく知らなかったわけではなかったのですが、細かくリリースする開発プロセス手法でしょ?くらいの認識でした。ふとしたことから、カンバン仕事術を読み、アジャイルサムライ、ザ・ゴール、トヨタ生産方式と読み進めていくにつれて、"これは単なる開発プロセスの話ではなく開発を取り巻く文化の革命だ"、と認識を改めました。

その後、外から影響を受け易い自分がスクラムチームを自分でも立ち上げたいと思い至るのには時間がかかりませんでした。

 

カイゼン・ジャーニー&デブサミ2019冬

カンファレンスに参加するのは学生の頃の学会以来でした。同期からの紹介で知ったのですがどうもアジャイルに詳しい方の講演があるらしいぞと申し込み、書籍も出してるということだったので購入して予習しました。それがカイゼン・ジャーニーです。技術系の書籍でまさか涙を流すことになるとは思いもしませんでした…

 

感極まった状態のまま講演を聴き、またしても衝撃を受けることになりました。ソフトウェア開発でこんなに心をワクワクさせるコトがあるんだ。ワクワクしていいんだなーと。コードを書くこと自体は好きだったのですが、仕事となるとまた別です。仕事なんだから、楽しむことよりきっちりやることが大事、個人のタスクを各々が計画どおりに進めてチームに迷惑をかけないようにしよう、といったマインドセットを持っていたと思います。そうしたマインドセットがガラリと変わっていくのを感じていました。そういえば自分はスクラムチームを作って何がしたいんだろう。

 

あなたは何をする人なんですか?

 

この問いに答えていかねばと考えるようになりました。

 

スクラム

早速募集したところ活きの良いメンバーが数名直ぐに集まりました。全員スクラム初心者です。誰も何も知らないところからスタートするという今思うと無茶な取り組みだったなと少し反省しています。何とか知識としてスクラムを知っているのは自分だけ。ドメインに詳しいのも自分。アンチパターンと知りつつも必然的にプロダクトオーナー兼スクラムマスターとなりました。それからはとにかく楽しかったです。何せ全てが新鮮だったので。プロトタイプ開発のお試しアジャイルであったため厳密なチェックもなかったからという理由も大きかったです。インセプションデッキ、ワーキングアグリーメント、スプリント計画、ストーリーポイント見積もり、朝会、スプリントレビュー、ふりかえり。試行錯誤しながら一通り全て実践していきました。また開発環境もレガシーだったため、チャットツールやGit、CI/CD環境などを順に整備していきました。とはいえ自分は方向性を示していっただけで、メンバーが自発的に提案してくれたものや、ふりかえりで出てきた施策ばかりです。場を提供して楽しさを引き出せばこんなに変わるんだと思い知りました。チーム全体が日々成長を感じることができる貴重な体験でした。自分だけではなくメンバー全員がアジャイルスクラムを好きになって行きました。

 

ドメイン駆動設計

てっきりアジャイルをマジで実践しているのは職場で自分だけだと思い上がっていたのですが、とても近くに何と1年以上前から実践していた方がいました。それなら是非にと取組みの紹介をしていただいたところ、アジャイルの為になる経験も聞けたのですが、ドメイン駆動設計もいいぞと薦められることに。これも大きなパラダイムシフトでした。それから増田さんの本を読んだり、現場でDDDに参加したりして自分なりに勉強しつつ、少し懐疑的なメンバーにやってみない?と提案していました。無理強いしてもなぁという思いもあったので自発的にやりたいと言うのを待っていたのですが、結果的にはやると言ってくれて、更にやってみて良かったという感想がふりかえりで出てきたのは嬉しかったです。まだまだ荒削りでユビキタス言語を使いこなせてはいませんが、改善の余地があるなぁと期待しています。

 

ちなみにその先人の方がTwitterいいぞと言っていたからというのがTwitterを始めたきっかけでもありました。

 

ふりかえり

スクラムマスターとして大事にしたのは開発チームのモチベーションでした。走り出したばっかりなので辛かったり飽きてしまったらすぐに萎んでしまう。とにかく今はFunやろと思って、特にふりかえりのマンネリ化には気をつけました。初めはKPTしか知らなかったのですが、調べていくとYWTというにもあるらしいぞとメンバーに紹介し、ブログ記事を皆んなで読みながら見よう見まねでやってみました。確かな感触がありました。たった1週間なのに意外と自分がやったこと忘れてるなー、それぞれが思っていることって共有出来ていなかったんだなー、聞き方を変えるとこんなにも意見が出易くなるんだなー、いわゆる心理的安全性って何気ない会話を増やすことで高まっていくんだなー、と沢山の気づきを得ました。楽しくなってきたのと色々情報が入ってきたので、Fun Done Learn、Timeline、象/死んだ魚/嘔吐などなど、ふりかえり手法のレパートリーをどんどん増やしていきました。そしてスクラムのイベントは色々あるけれど1番重要なのはふりかえりじゃね?と思い至ることに。プロジェクトの終わりにKPTのエクセルアンケートをメールで投げて終わりじゃなくて、付箋に書いて皆んなでオープンにし合って、あーそんなこと感じてたんだー次はどうしようかー?と話し合う。こういう時間が貴重だなと思います。レパートリーも増え、メンバーからも詳しいですねと言われていたため、もはやプロでは?と調子に乗っていたのも束の間、ふりかえりチートシートなるものの存在をその後知るのでした…

 

アーキテクト研修

明確な役割があるわけでもないですが、一応職場ではプロマネよりもアーキテクトとして振る舞っています。特に2019年は社内のアーキテクト研修を長期間受講することになり、大変学びが多い年でした。その中でアーキテクトは孤独だという話がありました。確かにメンバーがそれぞれのアーキテクチャを語り出したら収集がつかなくなりますので、ある程度優秀なアーキテクトが中央集権的に振る舞うことになり、例え批判を受けようとも正しいと思う方向に舵を切る判断を孤独にしないといけない場面はあるかなと思います。ただそれってやっぱり辛いなーと思ったり、そのアーキテクトが居なくなったらアーキテクチャが崩れていくんだよなーとか、ずっと1人で忙しいので後任が育ちにくいんだよなーという実感がありました。そんな中、Design it! を読んで、優れたアーキテクトは1人で良いアーキテクチャを設計する人ではなくて、チームをより良い設計に導く人だ、ということが書かれており、またもや衝撃を受けました。設計技術ばかり勉強していましたが、チームをファシリテーションするスキルも大事だよということ。スクラムにアーキテクトというロールは無いけどアーキテクチャ設計はどうするの?に対する回答は、メンバー全員がアーキテクトであり、トップアーキテクト(テックリード)がチームを引っ張って、ファシリテーションして、成長させていくことで達成していくんだなあと腑に落ちました。自分が目指すのはこんなアーキテクトが良いなあと描くことができたように思います。おかげで研修のグループ討議ではそうしたロールを意識して練習する場とすることができました。

 

社外活動

デブサミ冬夏、現場でDDD、経産省アジャイルなどなど、これまでの鬱憤を晴らすかのように(?)、社外のイベントに参加した年でした。中でもJJUG CCCにボランティアスタッフとして参加でき、中から運営が見れたことと、微力ながらコミュニティに貢献できたことが嬉しかったです。家族優先のため中々高頻度の参加も難しいですが、2020年は更にもっと社外活動を増やしていきたいです。どこかでお会いしたら気軽にお声がけください。

 

プライベート

長年Android党でしたが、iPhone党に変わりました。iPhoneいいですね…もっと早く使えば良かった。ついでにApple Watchも揃えてすっかりAppleファンです。

 

さいごに

2019年はチャレンジと試行錯誤とFunの年でした。2020年は更にチャレンジしていきます!