A-CSM研修を受講しました。

はじめに

こんにちは、kuroです。

スクラムマスター Advent Calendar 2023」の20日目です。 この記事では2023年に受講したA-CSM研修について書いています。

adventar.org

A-CSM?

A-CSM(Advanced Certified Scrum Master)は、CSMとCSP-SMの中間に位置する資格であり、受講にあたっては以下の要件が示されています。

  • スクラムマスターの役割に特化した実務経験が少なくとも1年以上あること(過去5年以内にスクラムアライアンスのプロフィールに記録されていること)
  • スクラムアライアンスのアクティブな認定スクラムマスター(CSM)資格を持っていること。

幸い、いずれも問題ありませんでしたので、研修を受講して、無事A-CSM資格を取得することができました。 ワタシ、スクラムのことホンノチョットワカル。

受講したA-CSMのトレーナーは、書籍「The Great ScrumMaster (邦訳 ScrumMaster the Book)」の著者であるZuzi Sochovaさん。ScrumMaster the Bookも読んでとても共感できる内容だったので、あのZuziのトレーニングを受講できるならと申し込んだわけです。

www.jp.agilergo.com

ScrumMasterWay

Zuziが提唱しているユニークなコンセプトとして、ScrumMasterWay(スクラムマスターの道)があります。

scrummasterway.com

ScrumMasterWayは、スクラムで卓越した成果を収める方法、グレートスクラムマスターになるための方法を示しています。 ScrumMasterWayには4つのコア要素(メタスキル、学習、心理、リーダーシップ)と3つのレベル(私のチーム、人間関係、システム全体)があります。特に、コア要素の一つであるメタスキルがとても参考になるのですが、A-CSM研修では、研修中に特に意識するメタスキルを各人で選択するよう指示があり、遊び心(Playfullness)と悩みましたが、この機会に色々と興味を持って学びたいという思いから好奇心(Curiosity)を選択しました。

どんなトレーニングだったか?

スクラムマスターとしての基礎は当然身につけた前提のトレーニングとなっていますが、とにかく一緒に受講した方々とのディスカッション時間が多かったです。Zuziの話を聞いていた時間よりも受講生との時間の方がおそらく長かった。Zuziから提示されたテーマについて受講生同士でディスカッションをしたり、ロールプレイングしたり、コーチングの練習をしたり、とグループワークが主体でまさにトレーニングという感じです。

個人的には座学でずっと話を聞いているよりも、こうした実践型のトレーニングの方がありがたく、一緒に受講したグループメンバーからの刺激もあって、スクラムに関する理解がぐっと上がりました。また、グレートスクラムマスターへの道のりはまだまだ遠いなあとも思い知らされました。とにかく知識も練習もまだまだ足らない。

一緒に研修を受講したメンバーと後日集まってふりかえりを実施しているので、良かったらHaradaさんのブログも読んでみてくださいー。

agile.hatenadiary.com

スクラムマスターとしての最近の自分の役割

A-CSM研修をわざわざ受講した身でありながら、実は仕事で特にスクラムチームに所属しているわけではなく、もっぱら自分自身はスクラムではない方法でシステム開発を行なっています。また一方では、組織に対するアジャイル導入の推進やスクラムチームの支援も担当し、ScrumMasterWayでいうところのレベル2(人間関係)やレベル3:(システム全体)の方にフォーカスをあてています。アジャイルの価値を組織レベルに引き上げることの難易度を日々感じており、そういう役割においても、今回のA-CSM研修はエグゼクティブ向けを想定したワーク等があって有意義でした。

おわりに

CSM研修を受ける前は、CSMを取れば一人前だと思っていました。A-CSM研修を受ける前は、A-CSMを取ればさすがに一人前になるだろうと思っていました。 しかしながら実際は、知れば知るほど長い道のりであることがわかり、まだまだ歩み始めたばかりであることを痛感するばかりです。。学びは続いていきます。

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな・・・このはてしなく遠いスクラムマスター坂をよ・・・

(次回作にご期待ください)

2023年のふりかえりに関係する出来事をふりかえる

はじめに

こんにちは、kuroです。

「ふりかえり Advent Calendar 2023」の13日目です。 X(旧Twitter)とブログが社内で少しバレ始めて変なことを最近書きづらくなってきました。 さて、この記事では2023年のふりかえりに関係する私の出来事をふりかえりたいと思います。

adventar.org

びばさんに講演してもらった

まずは何よりもこれです。本Advent Calendarの作成者であり、私のふりかえりの師匠であるびばさんに社内講演を実施していただきました!引っ張りだこでご多忙なところありがとうございました。Miroを使った社内では他にない形式の講演だったのでとても新鮮でした。

アジャイルの実績を作って推進担当になり、種を蒔きながら機会を伺って根回しをしてと、ここまで来るのにとても長かった…実は講演を企画したいと2020年に思ってから三年越しの実現でした。石の上にも三年ですね。

kurogi-s.hatenablog.com

永和システムマネジメントにお邪魔した

仕事で永和システムマネジメントにお邪魔しました。福井県を訪れたのもの初めてでした。 そこで、これだけKPT!の書籍やKPTAで有名な天野勝(あまぴょん)さんにお会いすることが出来ました。KPTAは社内でも使っている人がよくいます。Tryだけだと実施しないままになることが多いところ、Actionにまで落とすことで実際に行動に移すことが出来るという点が特徴です。

www.agile-studio.jp

永和システムマネジメントの皆さんはさすがファシリテーションスキルが高く感銘を受けました。付箋の使い方として、他と区別するために色を変えるのではなく45度傾けるのは新鮮なアイデアでした(その手があったか〜)。あとヨーロッパ軒のソースカツ丼が美味でした。是非また行きたい!

新人研修でふりかえりを語った

社内のアジャイル研修は少し前からご協力させて頂いているのですが、今年から部署の新人向けにもアジャイルの研修を始めまして、ふりかえりの大切さを語りました。t_wadaさんも「文化を根付かせる王道は新人教育」だと仰っていたので実践しようと考えたわけです。初めての取り組みで不安もありましたが、研修後のアンケートは上々だったので嬉しかったです。結果は数年経たないと分からないですが、来年再来年も機会を貰えるようなら続けていきたいです。新人の皆さん、活躍期待してますよ!

www.publickey1.jp

初めて顧客とふりかえりを実施した

これはここ最近の出来事。まだまだ乗り越えなければいけない壁が多く、私のアジャイルは社内が主戦場となっているのですけども、訳あって顧客との協働の場をファシリテーションする機会に恵まれたたため、タイムスケジュールの最後にふりかえりの時間を用意しました。顧客との振り返り(あえて漢字)といえば、そのほとんどがこちらの失敗に対する反省・分析・再発防止策の報告ばかりだったわけですが、この場では改善したいことと良かったこともお互いで共有することができ、ついにここまで来たか〜と感慨深いものがありました。 まだまだ機会はありそうなので、出し惜しみせずやっていきます。

おわりに

Fearless Changeに「勢いの持続」というパターンがあります。

たとえ向かい風にあっても、勢いを持続させ続けよう。失敗しても諦めずに挑戦し続ける人、前向きに何かをやり続ける人は、きっとことを成し遂げるだろう。

庭を育てるとき、ただ地面に種をなげつけて、これでおしまい。というわけにはいかない。水をまき、肥料を与え、雑草を取り除く必要がある。

自分もひょっとしたら最初の1年で辞めてしまったかもしれません。歩みは大分遅かったけれども、自分にとって持続可能なペースでやって来たから、ようやく少し収穫できるようになってきたかも。これからもふりかえり道を歩む一人として持続可能なペースで継続できればと思います。

皆さんも良いふりかえりライフを!

継続的に思考を言語化することの大切さ

はじめに

こんにちは、kuroです。

「ふりかえり Advent Calendar 2022」の14日目です。

adventar.org

最後のブログ記事が昨年のアドベントカレンダーだったので、アドベントカレンダーのためのブログになりつつある… 何について書こうかなとあれこれ考えていましたが、組織でふりかえりを広めていっている一方で、自分自身のふりかえりの時間を取れていなかったなあと思い返していました。今回は自分自身のふりかえり、つまり内省について少し考えを巡らせようと思います。

内省ってどうやるの?

日記・日報を書いてみたり、ふりかえり手法を一人でやってみたり、誰かに1on1して貰ったり、自然の中で美味しいコーヒーでも飲みながら物思いに耽ってみたり、と人それぞれやりやすい方法があるかなーと思います。ふりかえりするぞ!と構えるよりも、なるべくリラックスしながら、他に邪魔されない環境を用意するのが効果的ですね。お寺で坐禅とかもいいかもしれない。

最近のことしか思い出せない…

人間、すぐに思い出せるのは直近のことだけで昔のことはそんなに覚えていないのです。なので、内省しようと思っても思い出すきっかけがないと思考が深まらないんですね。時系列でとかトピックを連鎖的に紡ぐことで多少は補うこともできますが、やはり過去のイベントや考えたこと、感じたことは、その時々に残していくのが良いと思います。残したものを見ながら、思い出して、更に深く考えてみる、というプロセスが効果的な内省を支援してくれます。そして気づく、ブログも書けていないけど今年は読み返すツイートもあんまり無い。。

言葉に変換していく試み

言葉に出来ない感情も大事ですが、やはり内省にとっては言語化するというのが一つ大事なポイントだと思っています。言語化するメリットとしては、思考を自分の中で整理できる、読み返すことができる、時間軸を超えて再利用できる、誰かに共有できる、等々があります。感情自体や感情の根っこの理由を言語化したり、失敗・成功した物事に対して具体から抽象へ言語化してみたり、言葉にすることで自分自分の知らなかった一面を知ったり、新しい発見に出会うこともあります。

物思いにふけるだけでも頭の整理にはなりますが、手を動かして言葉に書き表すことが最も効果的だと私は考えています。よく色の名前が例に挙げられますが、言語化にあたっては言葉のグラデーションを広げるためのインプットも大切ですね。

おわりに

今年は内省について考えをまとめてみました。この記事自体も内省です。 思考を言語化する、またそれを継続的に実施していくことで、どんどん楽しくふりかえり出来るようになりますよ! イベント毎の記録を残すのは個人的にはTwitterがオススメですが、日記でもなんでも良いと思います。

皆さんも良いふりかえりライフを!

ふりかえりの文化を拡げる取り組みのこれまでとこれから

はじめに

この記事は「ふりかえりAdvent Calendar2021」12日目の記事です。

昨年に引き続き、今年も参加出来て光栄です。

adventar.org

ふりかえりの沼に足を踏み入れてから、かれこれ2年は経ったかなと思います。当時の自分の組織では"ふりかえり"と言えば何か大きな問題があったときの原因探しや反省会のことで、プロジェクトのふりかえりですら真面目にやっていることが少ないくらいでした。 ふりかえりの魅力に気づいてからは、そんな組織の文化を変えたくてあれこれ試行錯誤を続けてきた2年だったと思います。

この記事ではそんなふりかえり文化を拡げる取り組みのこれまでをYWTでふりかえり、これから何をしていこうか?を考えていきます。

やってきたこと

  • スクラムチームで付箋と壁を使ってやってみた。
  • スクラム以外のプロジェクトでも反省会ではないふりかえりがあることを紹介した。
  • 自分がファシリテーションをしてふりかえりを実際に体験して貰った。
  • 自分がいなくても出来るように自分たちに合う型を考えて展開した。
  • 毎週各チームのふりかえり内容を紹介する時間を作った。
  • 個人のYWTを共有する日報チャンネルを始めた。
  • プロジェクトではなく課の会議でもふりかえりを始めた。
  • ふりかえりカンファレンスの視聴会を開催した。
  • 社内勉強会等でふりかえりをテーマに登壇した。
  • ふりかえりに便利なオンラインツールを社内に広めた。

わかってきたこと

四方八方に押し売りしてきた感じですが、あからさまに反対する人は少なかったです。もっと開発に時間を使った方がいいんじゃないか、という意見が出たこともありましたが、何度かやって効果がわかってくると納得してくれることがほとんどでした。あとは、界隈にいるとKPTはまあ常識だよねと思いがちですが、KPTですら知名度はまだまだ高くないです。結局やっていないのはネガティブな理由があるわけではなく、シンプルに知らないだけなんですよね。

自分がファシリテーションをして体験してもらったときは、確かに良いんだけど誰かにファシリテーションやって貰わないと自分たちだけでは出来ないんだよね、という感想があがりました。ファシリテーションスキルの不安も広がらない理由の一つのようです。ファシリテーションスキルはふりかえりだけでなく様々なところで使える現代のコアスキルです。それならいっそ、どんどんふりかえりで練習して鍛えた方が良いんじゃないか?と自分は思います。あらゆる場のファシリテーションを輪番制にしていた自分のチームのメンバーは実際スキルが向上しています。実践あるのみ!

ただ、初めは目新しさもあって関心を持ってくれていた人でも、忙しくてあまりお手伝いも出来なくなってくると、中々続けていくのが難しいようで。自然にやめてしまうケースは多いです。だけど続いてるケースもあります。続くケースと続かないケース、何が違うんでしょう?

もちろん、スクラムイベントでやっているケースは続いているけれど、強制じゃないのに続いているケースは、やっぱり人なんじゃないかと思います。共感を獲得して、熱が感染した人が活動の中心にいます。文化を変えたいと思っていた自分の火種が広まっていっている手応えを感じます。激しい火ではないですが。でも弱火くらいがちょうど良いらしい。

じゃあ次に何をしよう?

率先垂範であることは続けていきたいです。楽しくふりかえりする姿を見せる。 もしくは、Fearless Changeパターン的にはアーリーマジョリティを獲得していくタイミングかも? 来年度は社内研修も引き受けることになったので裾野を広げる機会になるかもしれない。 既に頑張っている人を応援しつつ、知らない人にアプローチして0→1を増やしていく活動をしていく感じになるかな?

そうそう、ふりかえりガイドブックを机に置いているのですが、興味を持った同僚の方が買ったよと先日報告してくれて嬉しかったことがありました。そんな簡単なことでも拡げることが出来るんですね。

おわりに

園芸は良い土壌作りが大事なように、組織の文化を大事にしていきたいですね。 皆さんも、良いふりかえりライフを。来年度もよろしくお願いします。

やる気スイッチ僕のはどこにあるんだろう?

はじめに

この記事は「いきいきAdvent Calendar2021」二日目の記事です。いきいきしてるかーーーー!!!!

adventar.org

やる気スイッチって何?

いきいきとする。元気で活気に溢れた状態。になるためには自分のやる気スイッチを知っておくことが肝要です。やる気スイッチ、それは人生のスイッチ。皆さんは自分のやる気スイッチを知っていますか??この記事では自分のやる気スイッチを知る手かがりとして幾つかのアクティビティを紹介します。

f:id:kurogi_s:20211201235425p:plain

価値観カード

まずは価値観カード。Wevoxさんが提供しているWevox values cardはオンラインで誰でも利用することが出来ます。自己理解だけでなくチームで実施することでメンバー同士の相互理解を深めることができます。

wevox.io

あれもこれも選び難い価値観が記されたカードから、本当に大事にしたいカードだけを残して選び切ることで、これまで気づいていなかった自分の価値観を知ることが出来ます。自分の価値観を知り、その価値観に従った行動に変容していくことで、やる気をどんどん引き出すことが出来るでしょう!いきいき!

ムービング・モチベーターズ

続いてManagement 3.0からムービング・モチベーターズ。

nuworks.jp

management30.jp

こちらもチームでやるとチームビルディングにつながるアクティビティです。 10枚のモチベーションとなる項目が記載されたカードから、ベスト3を選んで、選んだカードとその理由をメンバーに共有します。カードは、受容、好奇心、自由、地位、ゴール、名誉、熟達、秩序、権力、関係性の10枚。

チームでわいわいがやがや共有し合うことで、自分のモチベーションの源泉を知ることが出来るだけでなく、他人の源泉も知ることが出来て、その後のチーム活動がどんどんいきいきしていくことでしょう!いきいき!

やる気スイッチアンケートとベクトル合わせ

個人のモチベーションの源泉と組織として求められることが完全に一致することはそうそうないと思います。 お互いのすれ違いでやる気を失ってしまうことは勿体無いと思いますし、組織としてもやる気を持って働いて欲しいと思っている、はず。 そんなときはメンバーにアンケートを取るのも一考です。

各メンバーが理解している組織目標や課題、個人の課題やチャレンジしてみたいこと、それらを擦り合わせて今後何を成し遂げていきたいかをアンケート形式で定点観測します。それによりモチベーションを高める施策を実施出来るようになって、お互いのベクトルを合わせていけるようになり、組織もどんどんいきいきしていくことでしょう!いきいき!

やる気はどこから来る?

そうは言っても、やる気が出ないときもあるよ、いきいき出来ないときはどうすれば?

そんなときはまずゆっくり休養するのがいいでしょう。もしくはとにかく行動を起こしてみるのがいいでしょう。

実はやる気という存在自体が虚構という言説も。

r25.jp

「やる気」という言葉は、「やる気」のない人間によって創作された虚構なんですよ。

人間は、行動を起こすから「やる気」が出てくる生き物なんです。仕事、勉強、家事などのやらないといけないことは、最初は面倒でも、やりはじめると気分がノッてきて作業がはかどる。そうした行動の結果を「やる気」が出たから…と考えているだけなんですよ。

そもそも脳にスイッチを入れるのは身体。まずは身体を動かさない限りスイッチは入らないわけです。

確かに気が乗らないタスクも、始めてしまえば筆が乗ってやる気が出てくるケースは多々あります。やる気スイッチは意外と簡単に入るのかもしれません。健全なる精神は健全なる身体に宿るもの。体を鍛えるのも一考です。

おわりに

「いきいきAdvent Calendar2021」に参加出来て、私もまたいきいきしてきました。 とにかく行動してみる大事さを感じます。いきいきしてるかーーーー!!!!

「ユニコーン企業のひみつ」を読みました。

はじめに

こんにちは、kuroです。久しぶりのブログです。本記事は、9月に開催されたXP祭りの書籍プレゼントで頂いた「ユニコーン企業のひみつ ――Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方」の感想記事になります。XP祭りに書籍を寄付して下さったオライリー・ジャパン社さんに圧倒的感謝…!

www.oreilly.co.jp

Spotifyモデルのことは聞いたことはあるという程度でしたが、本書を読んで理解が深まりました!

書籍の構成

本書の目次は以下のとおりです。スクワッドやトライブなどの聞き慣れない用語はSpotifyモデルの用語です。

  • 1章 スタートアップはどこが違うのか
  • 2章 ミッションで目的を与える
  • 3章 スクワッドに権限を与える
  • 4章 トライブでスケールさせる
  • 5章 ベットで方向を揃える
  • 6章 テック企業で働くということ
  • 7章 生産性向上に投資する
  • 8章 データから学ぶ
  • 9章 文化によって強くなる
  • 10章 レベルを上げる:ゆきてかえりし物語

本書では、従来企業とテック企業を対比させながらテック企業がいかに工夫して生産性向上を果たしているかを筆者の実際の経験を元に解説していきます。 ここで"従来企業"と"テック企業"は、日本で想像するところの"ウォーターフォール開発をしている大企業"と"スクラム等でアジャイル開発をしている企業"、ではない ところがポイントです。既に欧米では大企業であってもスクラムで開発している企業が大半です。そのため、"スクラムで開発しているエンタープライズ企業"と"スタートアップみたいな働き方でエンタープライズ企業のようなスケールを実現している企業"との対比となります。

日本ではスクラムですらまだまだ浸透していない中、海外ではその先を追求しているのか!と驚きました。

Spotifyモデル

Spotifyスウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジーによって運営されている音楽ストリーミングサービスです。Spotifyモデル、もしくはSpotifyのスクワッドモデルは、Spotifyの開発組織の構造を説明するモデルです。

Spotifyモデルはホワイトペーパーを藤原大さんが翻訳記事にしてくれていますので、こちらを読むことでより理解することができます。 lean-trenches.com

本書の内容と読んで考えたこと

なぜSpotifySpotifyモデルを作ったのか?

Spotifyモデルにはスクワッド、トライブ、チャプター、ギルドといった聞き慣れない用語が出てきます。スクラム用語ともスクラムのスケール手法で出てくる用語とも違っています。一見すると従来企業にもあるようなマトリクス組織にも見えますが、人材プールからプロジェクトに人材を貸し出す、のではなく、「何を」開発するかにまずフォーカスして「どうやって」手助けするかの専門性を育てることを支援することを狙いとしています。

他の成功している企業のやり方を勉強して自分の会社に取り入れるのはよいことだが、自身のコンテキストに合わせて取り入れなければならない。

Spotifyは自身のコンテキストに合わせるために、あえて独自の用語を定義して使っている、ということだと分かりました。そんなSpotifyモデルを真似てそのまま使ってしまう企業もあるのは皮肉なことです。

あとがきにもSpotifyでは既に本書の形ではSpotifyモデルは使っていないという説明があります。プラクティスやモデルではなく、それを生み出す文化がより大切だということです。

agile.quora.com

文化によって強くなる

良い文化は勝手に育つものではなく、直接投資するものだということを改めて理解しました。個人やチーム単位ではなく組織レベルで文化を作るのは相当根気がいることでしょう。また良い文化は良いリーダーシップから作られるように思いました。これはCAL研修の内容とも同じだなと思いました。心理的安全、傾聴、忍耐。発言ではなく行動を見られていることをいかに意識して振る舞えるか。率先垂範のリーダーシップを言行一致で実践することはかなり難しいです。

おわりに

筆者の実体験が元になっていることもあって、組織モデルやS/W開発手法、プラクティスや文化を表す数々の逸話など読み応えのある書籍でした! 文化を変えることはとても手強いですが、それだけ得られるものも大きいということ。自分もまだまだ精進していきたいです。

オンプレでも使えるOSSホワイトボードアプリ

はじめに

こんにちは、kuroです。 お久しぶりです。

さて、ふりかえりではホワイトボードアプリをよく利用します。 壁と付箋紙とドットシールで実施するふりかえりが好きですが、リモートワークが増えてからはすっかりオンラインでのふりかえりが増えてきました。そこで役に立つのがWebで提供されるホワイトボードアプリです。Microsoft whiteboard、mural、Google Jamboard、miro。直近ではFigmaが新しいホワイトボードアプリをリリースして話題になっていました。

しかし!残念ながら!世の中にはこんなに便利なものがありながら、社内利用できない会社が存在するんです! slackだってHackmdだってGithubだって使いたいのに使えない! そんな会社でどうするか。諦めるわけにはいかない。そういうときはオンプレで構築出来るOSSを使います。 slackならMattermostを、HackMDならCodiMDを、GithubならGitlabをこれまでも取り入れてきました。 ホワイトボードアプリだって諦めたくない。ということでオンプレで構築出来るOSSのホワイトボードアプリを調べてみました。

OSSホワイトボードアプリ一覧

scrumblr

scrumblr
scrumblr

github.com

scrumblr is a web-based simulation of a physical agile kanban board that supports real-time collaboration. it is built using node.js, websockets (using socket.io), CSS3, and jquery. i hope you like it.

デモサイトはこちら

scrumblr.ca

ボードと付箋だけのシンプルなホワイトボードです。 複数人でアクセスし、同時に編集が可能です。付箋の色は4種類。 ボードは縦に表題をつけて分割出来ます。KPTやYWTなど、ふりかえりに合わせて分割すると使いやすいですね。 付箋にはドットで投票することも可能です。 ボードの名前がURLになり、URLで共有するスタイルです。 シンプルながら軽量で、結構使いやすい。付箋に文字数制限があるところだけちょっと困るシーンがありますが、それ以外はとても満足しています。自分の組織でも今はscrumblrを導入しています。

付箋の色はオブジェクトを作成する際にランダムで決まるのですが、色を固定したいなと思った方は以下の記事を参考にしてみてください。

qiita.com

WBO

WBO
WBO

github.com

WBO is an online collaborative whiteboard that allows many users to draw simultaneously on a large virtual board. The board is updated in real time for all connected users, and its state is always persisted. It can be used for many different purposes, including art, entertainment, design, teaching.

デモサイトはこちら

wbo.ophir.dev

ペンやテキストや図形(直線、矩形、円形)などホワイトボードっぽい機能が一通り揃っています。 操作も軽量で使いやすい。付箋ではなく自由にお絵描きしたいのであれば最適だと思います。 天気図のふりかえりならこれで十分かもしれない。一度配置したオブジェクトは手のひらツールをクリックして、"変位(transformation?)"すると動かせます。テキストは改行出来ないかも?そこに少し不便さを感じます。

ourboard

ourboard
ourboard

github.com

Free and open-source online whiteboard.

デモサイトはこちら

www.ourboard.io

miroっぽい!認証機能があるけどGoogle認証だけのよう。 付箋、改行できるテキストボックス、エリア、関連線が基本機能。同時アクセスしているユーザのカーソル位置表示や全体マップはmiroと同じ。地味にRedo/Undoがあるのが嬉しい。いくつかのショートカットにも対応。ハイパーリンクだけでなく画像や動画もドラッグ&ドロップでオブジェクト作成出来ます。これは凄い。miroの基本機能で十分な方であれば代替になりうるOSSだと思います。これは自チームでも是非試してみたい!開発は始まったばかりなので今後にも期待!

おわりに

いかがでしたか。リモートワークが拡大していく中で、チームのコラボレーションを促進するツールの導入は必須です。 自社ではWEBサービスを利用出来ないと同じようにお困りの方は、ぜひ諦めずにオンプレで構築することを考えてみてください! 他にも知っているOSSがあれば教えて頂けると幸いです。ではでは、皆さんも良いふりかえりライフを。