「ユニコーン企業のひみつ」を読みました。

はじめに

こんにちは、kuroです。久しぶりのブログです。本記事は、9月に開催されたXP祭りの書籍プレゼントで頂いた「ユニコーン企業のひみつ ――Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方」の感想記事になります。XP祭りに書籍を寄付して下さったオライリー・ジャパン社さんに圧倒的感謝…!

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Spotifyモデルのことは聞いたことはあるという程度でしたが、本書を読んで理解が深まりました!

書籍の構成

本書の目次は以下のとおりです。スクワッドやトライブなどの聞き慣れない用語はSpotifyモデルの用語です。

  • 1章 スタートアップはどこが違うのか
  • 2章 ミッションで目的を与える
  • 3章 スクワッドに権限を与える
  • 4章 トライブでスケールさせる
  • 5章 ベットで方向を揃える
  • 6章 テック企業で働くということ
  • 7章 生産性向上に投資する
  • 8章 データから学ぶ
  • 9章 文化によって強くなる
  • 10章 レベルを上げる:ゆきてかえりし物語

本書では、従来企業とテック企業を対比させながらテック企業がいかに工夫して生産性向上を果たしているかを筆者の実際の経験を元に解説していきます。 ここで"従来企業"と"テック企業"は、日本で想像するところの"ウォーターフォール開発をしている大企業"と"スクラム等でアジャイル開発をしている企業"、ではない ところがポイントです。既に欧米では大企業であってもスクラムで開発している企業が大半です。そのため、"スクラムで開発しているエンタープライズ企業"と"スタートアップみたいな働き方でエンタープライズ企業のようなスケールを実現している企業"との対比となります。

日本ではスクラムですらまだまだ浸透していない中、海外ではその先を追求しているのか!と驚きました。

Spotifyモデル

Spotifyスウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジーによって運営されている音楽ストリーミングサービスです。Spotifyモデル、もしくはSpotifyのスクワッドモデルは、Spotifyの開発組織の構造を説明するモデルです。

Spotifyモデルはホワイトペーパーを藤原大さんが翻訳記事にしてくれていますので、こちらを読むことでより理解することができます。 lean-trenches.com

本書の内容と読んで考えたこと

なぜSpotifySpotifyモデルを作ったのか?

Spotifyモデルにはスクワッド、トライブ、チャプター、ギルドといった聞き慣れない用語が出てきます。スクラム用語ともスクラムのスケール手法で出てくる用語とも違っています。一見すると従来企業にもあるようなマトリクス組織にも見えますが、人材プールからプロジェクトに人材を貸し出す、のではなく、「何を」開発するかにまずフォーカスして「どうやって」手助けするかの専門性を育てることを支援することを狙いとしています。

他の成功している企業のやり方を勉強して自分の会社に取り入れるのはよいことだが、自身のコンテキストに合わせて取り入れなければならない。

Spotifyは自身のコンテキストに合わせるために、あえて独自の用語を定義して使っている、ということだと分かりました。そんなSpotifyモデルを真似てそのまま使ってしまう企業もあるのは皮肉なことです。

あとがきにもSpotifyでは既に本書の形ではSpotifyモデルは使っていないという説明があります。プラクティスやモデルではなく、それを生み出す文化がより大切だということです。

agile.quora.com

文化によって強くなる

良い文化は勝手に育つものではなく、直接投資するものだということを改めて理解しました。個人やチーム単位ではなく組織レベルで文化を作るのは相当根気がいることでしょう。また良い文化は良いリーダーシップから作られるように思いました。これはCAL研修の内容とも同じだなと思いました。心理的安全、傾聴、忍耐。発言ではなく行動を見られていることをいかに意識して振る舞えるか。率先垂範のリーダーシップを言行一致で実践することはかなり難しいです。

おわりに

筆者の実体験が元になっていることもあって、組織モデルやS/W開発手法、プラクティスや文化を表す数々の逸話など読み応えのある書籍でした! 文化を変えることはとても手強いですが、それだけ得られるものも大きいということ。自分もまだまだ精進していきたいです。